アメリカ・ドイツ・日本の比較
条件付き運転免許の発行
精密な適性検査の実施が必要
韓国の各自治体が高齢ドライバーの免許返納を促すさまざまな対策を打ち出していることが明らかになった。最も一般的な対策は、運転免許を返納すると交通カードを提供するというもので、高齢ドライバーの交通事故率増加を防ぐための対策と推測される。これに対し、政府は65歳以上の高齢者の運転能力を評価し、夜間や高速道路の運転禁止などを条件に免許を発行する方針を検討すると発表した。
元々、交通事故発生件数が世界一を記録したこともある韓国の交通事故発生率は大幅に減少しているが、高齢ドライバーの交通事故発生件数が増加しているため、問題が提起された。これに対し、交通専門家たちは、条件付き免許制度の導入の必要性に同意しつつ、市民の移動権を制限するだけに、適性検査の実現、代替交通手段の準備などが先行されるべきだと指摘した。
先日、国土交通部と警察庁などが発表した交通事故死者数減少策には、「高齢者の条件付き免許制度」の導入が含まれていることが明らかになった。政府は、2022年から今年の末まで高齢者の条件付き免許制度の導入方案を研究することとなっており、調査結果を基に法改正などの導入可否を本格的に検討する予定である。
高齢ドライバーに条件付きの運転免許を発行するという内容の制度は、運転能力に応じて運転許可範囲を段階的に許可する方式である。これは、高齢者の運転能力に応じて夜間、高速道路の運転を禁止するなど、運転許可範囲を変える条件付きの免許を発行し、運転許可範囲が制限されると予想される。
国土交通部の調査結果によれば、2022年時点で65歳以上の運転者が加害者となった交通事故は34,652件に上り、統計調査の集計後に最高値を記録し、交通事故全体の17.6%を占めることが明らかになった。
引用:ニュース1
各自治体が高齢者の免許管理のために運転免許返納制度を運用しているが、実際の返納率は2%程度と低く、その有効性についての議論が続いている。この制度は、運転免許を返納した高齢ドライバーに交通カードなどのインセンティブを提供するものだということが確認された。
また、高齢ドライバーの免許返納とともに適性検査も実施している。しかし、専門家たちは適性検査も名ばかりの検証にすぎないと評価している。高齢ドライバーと分類される65~75歳未満は5年、75歳以上は3年ごとに適性検査を受けることになっている。実際に行われる適性検査は、視力測定などの形式的な検査にとどまり、実際の運転能力や認知機能の検証は行わず、ドライバーの対応能力を評価するには不適切だとの指摘がある。
引用:KBS
韓国よりも先にアメリカ、ドイツ、日本などの先進国では、条件付き運転免許制度が運用されていることが確認された。アメリカの場合、厳密な検証により高齢ドライバーの運転能力に応じて運転距離、時間、速度などを具体的に制限する条件付き運転免許を導入していることが明らかになった。
ドイツの場合、医師による診断が必須で、医師の診断に基づいた運転者に合わせた条件付き運転免許が発行される。視力が低い高齢ドライバーには昼間の運転のみを許可し、長距離運転に問題を抱えているドライバーには、数キロメートル以内での運転のみを許可する免許を与える。日本では、高齢ドライバーの車に緊急自動ブレーキ装置を政府が支援して設置し、運転免許返納制度も韓国より20年早く導入された。
一方、高齢者の条件付き免許の導入には数日かかると予想される中、それよりも先に適性検査の有効性を高める必要があるとの主張が出されている。交通システム学の専門家の1人は、「単に年齢が高いからといって運転権を制限するのは不適切だ」と指摘し、「高齢者であっても認知能力や運転能力は様々であるため、適性検査を精密に実施し、その結果を基に免許の更新を判断するべきだ」と主張した。
これは、海外の事例を見るとわかる「合理的な差別」の制度をよく研究し、適用するべきであるという意味だと解釈できる。高齢ドライバーの分類を単純に年齢で区別するのではなく、柔軟に細分化する必要があるとの指摘だ。
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